本文へスキップ
週末ジャーナル
テクノロジー

クラウドって何?AWSの基本を3つの柱で理解する

秋山 拓真
7分で読めます
目次

AWSをはじめて学ぶ人へ——「コンピュート」「ストレージ」「セキュリティ」の3本柱で理解する

クラウドという言葉は聞いたことがあっても、「AWSって結局何ができるの?」と感じている方は多いのではないでしょうか。AWS(Amazon Web Services)は200を超えるサービスを提供しており、全体像をつかむのが難しく感じられることもあります。しかし、最初のうちは**「コンピュート」「ストレージ」「セキュリティ」**という3つの柱を押さえるだけで、全体の構造がぐっとクリアになります。

この記事では、クラウド初心者の方に向けて、それぞれの柱を代表するサービスをたとえ話を交えながら紹介します。難しい専門用語はなるべく避け、「なぜそのサービスが必要なのか」という視点を大切にして解説していきます。


AWSの全体像——3つの柱とは何か

AWSクラウドの概念図。コンピュート(EC2/コンテナ)、ストレージ(S3/データベース)、セキュリティ(IAM/WAF)の3つの柱がクラウドインフラを支えている様子を示した図

上の図を見ると、AWSのクラウドインフラが3つの要素で構成されていることが視覚的にわかります。**Compute(コンピュート)**はプログラムを動かす「処理能力」、**Storage(ストレージ)はデータを保存する「倉庫」、そしてSecurity(セキュリティ)**はシステム全体を守る「鍵と番人」です。この3つが揃って初めて、安全で使いやすいクラウド環境が成り立ちます。


第1の柱:コンピュート——プログラムを動かす「処理エンジン」

Amazon EC2:自分専用のサーバーをクラウドで借りる

https://aws.amazon.com/jp/ec2/のスクリーンショット 出典: https://aws.amazon.com/jp/ec2/

コンピュートとは、ひと言でいえば「プログラムを実行する場所」のことです。従来はサーバーという物理的な機械を自社で購入・管理する必要がありましたが、AWSでは必要なときに必要な分だけサーバーを借りることができます。

その代表格が Amazon EC2(Elastic Compute Cloud) です。EC2はたとえるなら「レンタカー」のようなもの。自分で車を所有しなくても、使いたいときに好きなサイズの車を借りて、使い終わったら返せばよい。サーバーも同じで、大きなプロジェクトが始まるときは大型のインスタンスを借り、落ち着いたら小さなものに切り替えることができます。

AWSの公式情報によると、EC2は1,000を超えるインスタンスタイプを提供しており、インテル・AMD・Armと複数のプロセッサアーキテクチャに対応しています。また、99.99%の可用性SLAが設定されており、安定したサービス提供が期待できます。Webアプリケーションのホスティング、バッチ処理、機械学習のトレーニングなど、幅広いワークロードで活用されています。

AWS Lambda:サーバーの管理すら不要にする「自動調理器」

EC2よりさらに一歩進んだのが AWS Lambda です。Lambdaは「サーバーレス」と呼ばれる仕組みで、コードをアップロードするだけで実行環境の準備や管理をAWSが自動で行ってくれます。炊飯器に米と水を入れてボタンを押せば自動で炊き上がるように、コードを置いておけばトリガーに応じて自動で動く——そんなイメージです。小規模な処理や、イベント駆動型の仕組みを作りたいときに特に便利です。


第2の柱:ストレージ——データを安全に保管する「倉庫」

Amazon S3:無限に広がるオブジェクトストレージ

プログラムが動いても、データを保存する場所がなければ意味がありません。そこで登場するのが Amazon S3(Simple Storage Service) です。

S3はたとえるなら「クラウド上の巨大な倉庫」です。どんなサイズのファイルでも、何個でも棚に並べておくことができ、必要なときにすぐ取り出せます。しかも倉庫の広さを事前に決める必要がなく、荷物が増えれば自動的にスペースが広がります。

AWSの公式情報によると、S3は99.999999999%(イレブンナイン)のデータ耐久性と99.99%の可用性を提供するよう設計されています。これは、1,000万個のファイルを保存した場合、1年間で失われるファイルが0.001個以下という極めて高い信頼性を意味します。画像・動画・ログファイル・バックアップデータなど、あらゆる種類のデータ保存に利用されており、データレイクやクラウドネイティブなアプリケーションの基盤としても広く使われています。

また、コスト効率に優れた複数のストレージクラスが用意されており、アクセス頻度に応じて最適なクラスを選択することでコストを最適化できます。


第3の柱:セキュリティ——システムを守る「鍵と番人」

AWS IAM:「誰が何をできるか」を細かく管理する

どれだけ優れたコンピュートとストレージがあっても、セキュリティが甘ければシステムは成り立ちません。AWSでセキュリティの基盤となるのが AWS IAM(Identity and Access Management) です。

IAMはたとえるなら「社員証と権限管理システム」のようなものです。会社では、社員によって入れる部屋や閲覧できる書類が異なりますよね。IAMも同じで、「このユーザーはS3の読み取りだけできる」「このシステムはEC2の起動のみ許可」といった細かな権限設定が可能です。

AWSの公式情報によると、IAMでは最小特権の原則(必要最低限の権限だけを付与する考え方)に基づいたアクセス管理が推奨されています。属性ベースのアクセスコントロール(ABAC)を使えば、部署・役職・チーム名などのユーザー属性に基づいたきめ細かな権限設定も可能です。また、IAMは追加料金なしで利用できるため、AWSを使い始めた最初の段階から積極的に活用することが推奨されています。

AWS WAF:外部からの攻撃を防ぐ「門番」

IAMが内部の権限管理を担うのに対し、**AWS WAF(Web Application Firewall)**は外部からの不正アクセスや攻撃を防ぐ役割を担います。Webサイトへの不正なリクエストをフィルタリングし、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングといった代表的な攻撃手法からアプリケーションを保護します。


学び始めの順番——どこから手をつけるべきか

3つの柱を理解したところで、「では実際にどこから学べばいいの?」という疑問が出てくるかと思います。以下の順番がおすすめです。

① まずIAMを理解する AWSアカウントを作ったら最初にやるべきことはIAMの設定です。ルートアカウントをそのまま使い続けるのはセキュリティ上のリスクがあるため、まずIAMユーザーと適切な権限設定を学びましょう。

② 次にEC2でサーバーを立ち上げてみる 実際にEC2インスタンスを起動し、SSHで接続してみることで「クラウドのサーバーとはどういうものか」を体感できます。インスタンスの起動・停止・削除の操作を通じて、クラウドの柔軟性を実感できるでしょう。

③ S3でファイルの保存と取得を試す EC2に慣れたら、S3にファイルをアップロード・ダウンロードしてみましょう。バケットの作成やアクセス権限の設定を学ぶことで、ストレージとセキュリティの連携も理解できます。

④ Lambdaでサーバーレスを体験する 基礎が固まったら、Lambdaで簡単な関数を作ってみましょう。S3へのファイルアップロードをトリガーに処理を実行するといった連携を試すと、AWSサービスを組み合わせる面白さが見えてきます。


まとめ

AWSは膨大なサービス群を持つクラウドプラットフォームですが、「コンピュート(EC2/Lambda)」「ストレージ(S3)」「セキュリティ(IAM/WAF)」という3本柱を軸に理解を深めていくと、全体像が見えやすくなります。最初から全部を覚えようとせず、IAM → EC2 → S3 → Lambda という順番で一つひとつ手を動かしながら学ぶことが、着実にスキルを身につける近道です。クラウドの学習は、実際に触れてみることで加速します。ぜひAWSの無料利用枠を活用して、まずは小さな一歩を踏み出してみてください。

SHAREFacebookはてブLINE

RELATED

あわせて読みたい

在宅ワークの日に作る、5分の昼ごはん

在宅ワークの昼ごはん、5分で済ませる3つのアイデア 在宅ワークの昼休み、気づけばあっという間に終わっている——そんなことが続いている。

春野 ひより

2分で読めます

山と湖をめぐる週末旅、締めはご当地ラーメン

山あいの湖へ、ちいさな1泊2日旅 仕事が立て込んでいた週が終わって、ふと「どこか遠くへ行きたい」という気持ちがあふれてきた。そういうとき、わたしはたいてい山か湖を選ぶ。

秋山 拓真

5分で読めます